【しろぽんの十大小説 1位】トルストイ 戦争と平和 一番好きな小説

‘世界最高の偉大なる小説 トルストイ 戦争と平和






私の父親は書籍の収集家で、昔の家には数万冊の本が何百本の書棚、天井の棚、ガレージの倉庫に並んでいた。
父は昔から本好きであったが、貧乏なときに本を売り払って生活費に代えたことがトラウマになったのか、お金が出来てからは惜しむことなく本にお金をつぎ込んだ。

その父の影響で私もまだ学生時代の頃より、月の小遣いの半分を本につぎ込み、震災前には20代にして5000冊の本を持っていた。
もちろん、小遣いをつぎ込むレベルなので、安価な文庫本などが多く、希少本などは少なかった。



そんな家なので、私が古典作品(本当の意味の古典ではなく、現代作家が新しく書いたもの以外の本)を買おうとする場合、たいてい、同じ本を父が所有していた。
私と興味が重なる分野では、同じ本が版を違えて2冊以上あったのだ。本当に無駄なことだが、収集家魂をご理解いただければと思う。



しかし、父の蔵書でも、近代以前の海外小説だけはコレクションが少なかった。
トルストイやスタンダールと言った、いわゆる文豪と呼ばれる人の作品である。

なので、最初は私もこの分野に疎かったのだが、ある日、何を思ったか、父がトルストイのアンナ・カレーニナの状態の良い古本を見つけ、私と弟に買ってきてくれた。
父は、時々、このように何の脈略もなく本を買ってきてくれるのだが、実に鋭い選択眼で選んでくれるので、常に人生観を広めるような本と出合うことになった。



このアンナ・カレーニナは生まれて初めて2回以上読んだ本であった。それほど愛おしく感じた。まさに「愛おしい」と感じた。
トルストイが描く、ロシアのある家庭の世界全体が実に親しく思え、読み終わってそれと分かれるのが寂しく思えたのだ。

これからというもの、私は近世・近代の文豪たちの小説を読み漁った。
トルストイ、ドストエフスキー、ディケンズ、スタンダール、バルザック、メルヴィル等など。
大体500ページ以上の本で1日に1冊、ヘッセなどの短めの作品なら日に2冊以上読むこともあった。
新しい作品を買って帰ると読み始めるまで楽しみでしょうがなかった。



そして、これは絶対にすごいだろうと最高度の期待をかけて読んだ本がトルストイ「戦争と平和」である。

読後、人類はなんてすばらしい遺産を持っているのだろうと感謝したのを覚えている。
雄大な歴史事件(ナポレオンのロシア戦争)を背景に生き生きとした登場人物たちが輝きながら語られる。
この作品には100人以上の人物が登場するが、その一人ひとりがリアリティのある存在としてあり、沢山の場面が一筋のストーリーになんの違和感もなくまとめられている。

本当にすごかった。
この作品は、後に大学の研究テーマなどに選び、何度か読んだこともあり、すべての登場人物の名前やプロフィールをそらで覚え、印象的なシーンは、その台詞まで覚えてしまったほどだった。
(他にも三国志や水滸伝、87分署なども全部の登場人物を覚えている)



サマセット・モームもその「世界の十大小説」の中で言っているが、この先、トルストイのような小説家は生まれないだろうな。
なんか寂しいが、トルストイ以前の世界でなくて良かった。



「戦争と平和」の翻訳はいろいろ読んだが、昔は岩波の米川 正夫さんの翻訳が好きだった。でも、今は新潮の工藤 精一郎さんの訳もドラマチックでいい。


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