MotoGP史上最も醜悪なレース 2015年MotoGPマレーシアGP その2



Moto GP 2015 マレーシア ロッシとマルケスのバトル
Moto GP 2015 マレーシア ロッシとマルケスのバトル




Moto GP 2015 マレーシア ロッシとマルケスのバトル2
Moto GP 2015 マレーシア ロッシとマルケスのバトル2


前話からの続き、
MotoGP史上最も醜悪なレース 2015年MotoGPマレーシアGP その2



前の話はこちら
MotoGP史上最も醜悪なレース 2015年MotoGPマレーシアGP その1




■両者とも警告のペナルティを与えるべきだった

私の考察では、マルケスはロッシを遅らせるための妨害をしたし、ロッシはマルケスのバイクを蹴って転倒させた。
ロッシのやったことは、結果が明らかなので、すぐに失格処分にすべきだった。
ロッシだけを失格にすれば不公平に見えるだろうが、7週目の事件後に裁定するならそれしかない。レースの最中に、意図的に蹴って相手を転倒させるなんて許されない。マルケスのリタイアは自業自得であり、どうしようもない。

しかし、レースの運営者、管理者、主催者であるドルナこそが、もっとも責めらるべき相手である。プレカンファンレスからのレーサー同士の暴言を、まるでボクシングの試合のように放置し、何度も起こっていた危険なバトルを放置し、今戦も序盤の危険な駆け引きを放置した。すべてTV放送での収益の為である。危険な無茶苦茶なバトルを放送するほど視聴者が盛り上がり、儲かるからだ。

レース序盤で危険すぎるバトルが行われた時点、実際に接触した時点で、両者に警告のペナルティを与えればよかった。実際に転倒する前に防ぐ手段はいくらでもあったのだ。

今回ロッシとマルケスは自らの命よりも勝負を優先した。そして、主催者DORNAドルナはレーサーの命よりもお金を優先しているのだ。ロッシとマルケスが賭けたものは自らの命だが、ドルナは他人の命を賭けて儲けているのだ。最も悪質である。ドルナは激戦を演出するために多少の接触は許されると考えている。その結果、一方が転倒したり、レーサーが怪我をしたりしても良いと思っている。ここ数年のレースを見ていると、相手を転倒させてもペナルティは数ポイントで、失格のペナルティはほとんどない。これは、「レース中に接触して相手が転倒すれば自分は得になるよ」と宣言しているのと同じことだ。


しかし、どんなに悪質な業者が行っているレースであれ、キックはありえない。手や足で相手のバイクやライダーを蹴ることは絶対に許されない。
これは、威嚇の弾みに当たったとか、実際には当たらなかったとかの言い訳が入る余地はない。ロッシは大いに反省すべきで、チャンピオンには相応しくない。私はロッシのデビューの時からのファンだが、今回のロッシの行為にはがっくりしている。


■危険なスポーツでの紳士的なバトルこそがMotoGPの魅力

ロッシとマルケスは似ている部分がある。二人とも若くしてチャンピオンになり、苦労することなく先輩を負かしてきた天才ライダーである。ペドロサやロレンソのように、同じチームにエース格のレーサーがいて、最初はサポート役として走るという経験が少ないのだ。ロッシはMotoGP参戦すぐに優勝をしているし、500ccクラス2年目でチャンピオンになっている。マルケスにいたっては、MotoGPクラス参戦初年にチャンピオンになるという天才ぶりである。
つまり、二人とも、強い年上の先輩レーサーというものを知らない。天性の素質と経験を組み合わせた戦いの心得を知らないのだ。
ロッシのレース経験は長いが、誰かが彼を諌めて、実力で制するという経験は無かったに違いない。マルケスのペドロサへの態度を見れば、彼が「年寄レーサー」をどう思っているか容易に想像がつく。
だから、彼らは勝者の態度を知らない。数度のチャンピオンを経験している「王者」としての風格を身に着けなければならない。自分と他のライダーの命を守るために心を鍛え、勝負に集中し、どんな時冷静に状況を読み取る力が必要だ。

私は、
ケニー・ロバーツ、ウェイン・レイニー、ケビン・シュワンツ、ワイン・ガードナー、ミック・ドゥーハンたちのように、一歩間違えば死ぬ危険のあるレースを戦う者同士の紳士的かつ勇猛なバトルこそがMotoGPの魅力だと思っている。マシンの性能よりもライダーの精神力・テクニックに依存する部分が多く、チームの資金力に関係なく勝利できることが素晴らしい。F1やWRCのようになってしまっては全く面白くない。(F1よりインディーカーレースの方が面白いのは、人的要素の大きさと、レーサーのスポーツマンシップだ)

どうか、MotoGPで、かつての心躍り、感動し、闘志とスポーツマンシップにあふれたバトルを再び見られるようになることを切望している。


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