【素晴らしい映画 Top10】 日本の最高の監督 木下恵介「お嬢さん乾杯!」、「破れ太鼓」他

‘このサイトでたまに見た映画の感想を書くが、それが本当に気に入って書いている訳ではない。
たまたま見たから書いているだけで、本当に感動した映画とはまた別だ。

感動した映画といっても、幼少のころから映画好きの父の影響もあって、沢山の映画を見て感動してきたので、
一概にこれといってくくりがあるわけではないので、思いついた順に、「Top10」などにこだわらず書いてみたい。

日本映画は戦前から1960年代終わりまでが全盛期で、今では考えられないような素晴らしい作品がいくつもあった。
この時期の日本の映画の質の高さは、戦前・戦後すぐの頃のフランス・イタリア映画に匹敵し、それを超えるかもしれない。

そして、この時代に活躍した日本の至宝というべき映画監督の一人が木下恵介である。
この時代には、彼だけでなく、黒澤明、小津安二郎らがおり、私は日本映画の三巨匠と呼んでいる。

彼はごく日常の生活をテーマに描き、その中で、人間の情愛・人間性を美しく描き出す。
描写が明るく、希望に満ちているので、見ていて生きる力を得ることが出来る。人間って、人生って素晴らしいものだと思えるのだ。

黒澤明はわりと劇的な事件を扱い、映像も一瞬見ただけなら迫力があるので、海外でも評価が高いが、映画としての表現力と完成度、各作品の平均しての質を考えると、木下恵介の方が上、おそらく日本映画史上最高の監督と言えるだろう。
日常を描く点では、同じ松竹の小津安二郎に似ているが、木下のほうがドラマチックで動きがある。これは良し悪しでなく、各人の性格・好みによって評価は変わるだろう。

彼には素晴らしい作品が何作もあり、それらの質も粒ぞろいだが、私の好みをあげれば、
 ○「お嬢さん乾杯!」 出演 佐野周二、原節子、佐田啓二  脚本 新藤兼人。
 ○「破れ太鼓」 出演 阪東妻三郎、森雅之、桂木洋子
が筆頭に来る。
全般的に前期の作品の方が力にあふれ、溌剌とした感じがする。

「お嬢さん乾杯○○EMOJI○○52○○EMOJIEND○○!」は町の自動車修理工場を営む青年が元華族の令嬢とお見合いすることになるところから始まる。
青年はなかなか良い人間だが、さすがに元華族のご令嬢となると差を感じる。そして、常識的にも合わないだろうと考えるが、彼女の飾りのない親切さややさしさ、そして自分には縁の無かった、上品な女らしさにひきつけられるばかりであった。この意外なカップルは、お互いの意外さにひかれて、いくつかの困難を乗り越え、最後には結ばれる○○EMOJI○○155○○EMOJIEND○○(予測)。
この映画には感動的なシーンがいくつもある。私は普通男女の恋愛劇にはこころ動かないたちだが、この映画は別格である。
上品で大人しい原節子が友人にその煮え切らない態度を責められ、「私、好きです」というシーン。そして、佐野周二が聴いたことも無いショパンを必死で理解しようと頑張るシーン、そして、初めて見るだろうバレーの舞台に感動して泣く佐野周二をよこからそっと覗き込む原節子が微笑むシーン。
どれも極上の場面で、いつでも必ず感動できる!!それらは今では古典的だが、人間の不変な部分に働きかける力をもつ映像なのだ。

「破れ太鼓」は私が自分の父への追憶としてしても、想いのこもる映画である。この映画を教えてくれたのも父である。
阪東妻三郎は苦労して成り上がった家族の父親、これまでの人生でも厳しく生きてきて、金が大事の我が儘な人間である。彼は家族にも横暴で、怒鳴り散らし、長女には金持ちの結婚相手を勝手に選び、息子たちにもぼろくそである。こう書くととても酷い人間に思えるが、彼のやっていること全体がユーモラスでどこか憎めないのだ。そんな観客の気持ちを代弁するのが、次男が歌う「破れ太鼓」の歌である。かれは父親を破れた太鼓に例え「朝から夜まで鳴りぱなしの大太鼓」と歌う○○EMOJI○○146○○EMOJIEND○○。
家族は最後に阪東妻三郎に反旗を翻し、家出してしまい、そのときに阪東妻三郎は自らの愚かを知り、本当に大切な想いに気付くのだ。
ここで描かれるのは、父親という存在の悲しさとその愛すべき愚かさである。父親は悲しいものだが、それを、こんなに明るく描くとことが出来るなんて!
父にそっくりな阪東妻三郎の演技にいつも泣いてしまう○○EMOJI○○143○○EMOJIEND○○。

木下恵介には他にも、「陸軍」、「二十四の瞳」、「女の園」、「日本の悲劇」など素晴らしい作品が沢山ある。最後期の作品は別にしても、どれも見逃してはいけない作品ばかりである。


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