Windows ServerとIISの組み合わせが嫌われる理由

‘インターネット上のサーバのOSを気にするのはWEB関連の開発者やサーバ管理者が主だろう。
変に難しく考え、物事を複雑に見せたい人にとって、Windowsは大敵だ。見た目がわかりやすく、扱いが簡単だからだ。


WEBサーバなどのインターネット上のサーバではこれまでずっとUNIX系のOSが主流だった。

UNIXはインターネットとともに生まれ成長してきたから、インターネットの拡大とともに広がっていくのも当然である。


一方、MicrosoftのWindows Serverは当初デスクトップPC上のOSを元に開発が始まったので、
本来インターネット上のサーバとして設計されていなかった。

ネットワークの仕組みそのものはインターネットもLANも変わりがないが、
スケーラビリティとセキュリティの点で違いがあった。

WindowsでのLANには、今も、BIOS名という、全PCに問い合わせて相手ホストを見つける方法があるが、
これはインターネットでは使えない。

初期のWindows Serverはこのように「小さなネットワーク」を基本にしていたので、
みんな、
「インターネット上のサーバに使えない」
と思った。

しかし、
その後、WindowsはアーキテクチャにUNIX系のシステムを使い、ほぼ同様の機能を持つに至った。
さらにネットワークはどんどん高速化し、Windows Serverが使っていた通信コストの高い方法も問題なくなってきた。


「でも、UNIXはタダで手に入る」

確かに、UNIXサーバを構築するのには無料のソフトウェアで充分だ。
しかし、サーバソフトウェアが無料で手に入っても、管理などのその他の費用を考えれば大差ないのではないだろうか。

一方、Windows Serverは実質的に安価になっていて、ホスティングサーバとして契約すればUNIX系サーバとさほど差がないのだ。
900円と1500円程度の差だ。

WEBサーバとして構築するなら、
IISやデータベース(SQL Server ExpressやWEB版)も無料で手に入る。
Mailサーバはフリーのものを別に使用するが、基本的に同じMicrosoftの製品を使えるので、ヘルプドキュメントもまとまっていて使いやすい。

ソフトメーカーのサポートなんてあてにならないが、全くないよりはましだ。
少し面倒に思えるが、問い合わせフォームから問い合わせると基本的なことには回答してくれる。


「Windows遅いし、安定しない」

とよく言われるが、
言っている人の大部分はWindows Serverを使ったことないのではないだろうか?
デスクトップ用のWindowsの感覚で見てはいけない。
全く別物だからだ。

OSそのものを再起動させなくとも、
IISやデータベースを再起動できるし、セキュリティも強化されている。
セキュリティ脆弱性の大部分は管理者やユーザーの設定不足・ミスに起因するので、OSの脆弱性が本当に問題になることは少ないと思う。
OSの脆弱性がアタックされた場合にはニュースになるほどなので、管理者としては「Microsoftの責任」と言いやすいし、メーカーも迅速に対応してくれる。

性能も実感としてUNIXとの差は感じない。
特にUNIX系で使うMySQLなどのデータベースは、複雑なクエリの実行でSQL Serverに劣る。
大規模なWEBサーバではデータベースは必須なので、この点は重要だ。
プロセス管理も今ではUNIXと同等の性能を発揮できる。
中規模までのサーバはWindows、エンタープライズ級はUNIXというのも今では伝説である。


最後に、Windowsサーバのもっともすぐれた点は、、
管理や開発の環境がリッチであること。

いまだコマンドラインで、いろいろなオプションを指定して設定するUNIXに対し、
WindowsにはVisual Studioやきちんとした管理アプリケーションが用意され、
全体の操作感覚が統一されている。

Visual StudioはデータベースとWEBサイトのソース、HTML、Javascriptを1つの画面上で操作できる。
クエリの発行もできるし、Javascriptも書ける、CSSでデザインを変えたり、画像ファイルもアップできる。

最近では、WEB Platformインストーラーなるものがあって、
WEB環境全部を開発環境(WEB Matrix)ごとインストールできる。
このインストーラーは、PHP+MySQL+WordPress+WEB MatrixのようなUNIX的な環境をインストールすることも可能で、むちゃくちゃ便利である。

Visual Studioのインテリセンスもしびれるほど便利で、
いちいち細かい文法を覚えていなくてもソースがかけて、途中まで書けば候補が出るので書くのも速い。
コントロールもデザインを見ながら直観的に配置できるので、全体のデザインがまとまりやすい。
HTMLを書いている最中に色の指定を書き始めればパレットが表示されて色が選べたりするのだ。

実際、開発スピードも3倍程度違う。
この便利さを一度体験するともうPHPには戻れない。

以上、総合的に考えて、Windows ServerとIISの組み合わせはWEBサーバの最強のコンビと言えます。
なのに今だ嫌われるのは、単にビル・ゲイツが嫌いで、食わず嫌いになっていると思う。
NTTデータや富士通のような会社との打ち合わせの現場でさえ、
「Microsoftは嫌いだから」と公言してシステムの環境を判断する人がいるくらいだ。

こんな無茶な発言が許されるのも、UNIXとWindowsのどちらを選んでも大差ないことの証拠だし、
非常識さが認識できなくなっている業界の偏狭さの現れともいえる。

サイバーネット神戸の最新情報をお届けします

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です