テスラTESLA Model S 未来を予感できる車
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テスラモデルS フロント
テスラモデルS フロント
テスラモデルS リア
テスラモデルS リア
後部スペース
後部スペース
17インチ コクピットディスプレイ
17インチ コクピットディスプレイ
充電プラグ 自動で開く
充電プラグ 自動で開く
ショールームで思わず注文してしまったほどうたれた。SFな車。
大阪に住んでいると車の必要性は低い。
でも、仕事がネットワーク中心になり、田舎住まいも可能になってきて、郊外の戸建ての家へ住もうかと考えたりしている。
そして、本当に今は車社会になっているなと感じる。
少し田舎に行くと、毎日の買い物は駐車場のあるイオンモールだけで、距離は3,4キロ。
電車はなくて、バスは1時間に数本。
これでは車がなくては生活できないし、街が初めから車の利用を前提にしている。
田んぼの広がるような田舎だと、農作業に、買い物に、通勤に車が使われ、人気がなくても車の通行はかなり多かったりする。
しかも、70歳くらいのおじいちゃん、おばあちゃんも車を使う。使わないと生活できないからだ。
なので、私は、郊外に住むことの前提は安全で高性能の車だと考えている。
そして、少しはその郊外の町が疎外されることなく、他の都市と有機的に結びつく未来像を描けるような車が欲しかった。
その、未来を感じさせてくれる車が「テスラ」だった。
電気自動車やハイブリッド車には乗ったことがあるので、単にモーターと電池を搭載しているだけなら特別な感想はなかったと思う。
しかし、「テスラ」には未来を志向する強力な意思を感じることができた。
テスラを知ったのは、パナソニック時代で、出資先として知った。
まだ工場も小さくて、自社でまともに開発しているのは電池の回路とモーターだけだった。
パナソニックやトヨタが注目したのは実際の技術的な成果ではなく、未来へのコンセプトだったのだと思う。
テスラの電池はパナソニック製で、ひとつひとつのセル自体は一般に販売されている。
テスラ独自の技術が発揮されているのはそのセルをできるだけ高密度に充填し、電気の取り出しや充電をスムーズに行うための回路設計とソフトウェアだ。
ボーイング787のリチウム電池がハード的な欠陥がないのに発熱発火した事象から推測できるように、リチウム電池には高いエネルギーが蓄えられるためにその扱いは難しい。
各セルの電圧や温度をモニターしつつ、システムの要求に応え、電気を出力したり、充電したりする。
電気自動車の場合、放電と充電はつねに切り替わり繰り返されるので、高速で処理できるインバーター回路は車の性能を決めると言っていい。
テスラのモデルSの場合、インバーターの性能によって航続距離や速力がかわる。
最大性能のタイプ(P85D)の場合、
航続距離 460km
0-100km/h 3.4s
最大速度 250km/h
最大出力 515kw(476hp)
最大トルク 440Nm
前に乗っていたリーフもかなりの快適さだったが、
航続距離 228km
最大出力 80kw
なので、かなり控えめでおとなしい。
これは日産が出来なかったのではなく、「やらなかった」からだ。
強い意志で未来を描き、そのコンセプトを完成したパッケージにまとめ上げたテスラを称賛したい。
テスラのモデルSはセダンタイプである。
一見したところそれほど特別な印象はない。
しかし、キーを持って近づくと、パネルと面一になっているドアノブがにょきっと出てくる。
空気抵抗を極限まで減らすための仕組みであるが、これは未来への意思が無いと採用しない仕組みだ。
フロントのボンネットは、ボンネットではない。エンジンはないからだ。トランクルームでポルシェ並みの広さはある。
後部ハッチを開けても広いトランクルームがあり、オプションで子供用のシートを設置することも可能で、その際は、リアに強度材が追加され、後部からの追突に備える。
実際に子供に座らせてみたが、後部ハッチが広くガラス面になっているので解放感もあって快適とのこと。
この後部の大きな空間は本質的にハッチバックといえる。使い方もそれに近い使い方になると思う。
シートに座ってもっとも印象深いのは17インチのコクピット・ディスプレイ。
タッチスクリーンでもともとLTEでネットワークに繋がっている。通信料はテスラもちなので、車内で自在にインターネットが使える。
しかも、このディスプレイ・タッチスクリーンは飾りではなく、車の各部の操作、サスペンション、ルーフウィンドウ、後部ハッチの操作などに使う。
自車の状態表示と共にボタンがあるので慣れれば分かりやすいだろう。
(最初は戸惑いがあります)
音声認識も可能なので、まるでナイトライダーのキッドのようなことも可能。
(おしゃべりはナビのみ)
車体はアルミ製なので重量の割に剛性が高いのがわかる。
メルセデス・ベンツなどのドイツ車に共通するがっちり感があり、高速走行していても安心できる。
電気自動車はどれもそうだが、重量配分が理想的で重心が低いため走行は極めて安定している。
フェラーリやポルシェのようにスピードが出てから安定するのではなく、ゆっくりした速度でも安定している感じがする。
これは多分にモーターの優れたトルク特性によるものだろう。
(モーターは一定の範囲内ではトルクが増加しても回転数が落ちない)
重心が低く安定しているために、高速度でも空力に頼らず接地できるので風を切る音が静かである。
エンジンに比べたときの騒音は車内ではそれほどの差はない。
外の人には無音で走っているように見えるので、まるでブレードランナーのスピナーのような印象だ。
プリウスなどでモーター走行時にエンジン音を立てる装置があるが、全く無用である。
一定度以上の走行ではタイヤの摩擦音が十分大きいし、無用にエンジン音を加えるなんてセンスがなさすぎる。
特筆すべきはワンペダル走行。
アクセルを戻すと充電しながら減速するので一気に停止する。
最初は戸惑いがあるが、ラジコンやゲームの感覚を思い出して操作するとすぐに慣れてくる。
ペダルを離さずコントロールするので微妙な操作ができるのだ。
クラッチがないと細かい操作は出来ないという迷信を抱いていたのが恥ずかしい。
そう云えば、かつてのドイツで大重量の戦車に搭載するトランスミッションが開発できないため、ポルシェ博士はエレファント戦車にモーターを搭載した。
大容量の電池、交流モーターと高性能のインバーターが内燃機関を上回る出力を出せるようになった現代に博士がいたならポルシェ社がモデルSを作っていたかもしれない。
航続距離は電気自動車のネックであった。
ガソリンは重量当たりの蓄積エネルギーが高く、電池とは比較にならない。
モデルSの85インバータータイプで460km距離を走行できるので、車としては十分な性能を達成したが、給油ステーションなどの社会的基盤に差があるように見える。
しかし、ガソリンの高価格と充電器の機能がそれを相殺する。
一般には知られていないが、日産のリーフの場合、日産のお店などで無料で充電できる。
実際に乗っていても、行き先の充電ステーションに日産のお店を選ぶことが多いので燃料費はタダである。
テスラもショップで無料で充電してくれるので、近くにテスラのショップがあれば当分燃料費はかからないと考えても良いと思う。
たとえ家で充電しても、フル充電に300円ほどなので、金額で対比した場合、ハイブリッド自動車と比べても2倍以上の差になる。
単純計算なのでエンジン車に不利な数値だが、家で充電できることや無料の充電ステーションがあることを考慮すれば実感としてこんなものだと言える。
(実際、リーフを乗っていてもこれくらい差が出ている)
最後に、
ここまでいいことだけを述べてきたが、テスラは創業(2003年)からわずか10年ほど。
エージングされてないことは明らかで、少し乗ってもこまかな不具合を発見できる。いろいろな会社が集まってパッケージングしたことがすぐに分かる。
システム全体が統制されていないのだ。
でも、これはかなり少ないほうだと思う。
2車種目なら、もっと荒削りな、未完成なパッケージだと思っていたからだ。
想像よりはるかに完成された姿になったのは、テスラの未来への意思の強固さの現れだろう。
それに開発は終わっていない、ソフトウェアは今もアップデートしているし、性能も向上している。進化を期待できる。
納車まで何か月もかかるし、その間にいろいろ問題は出てくると思うが、この意志さえ維持できればきっと良くなっていくだろう。
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