マルチコネクトコンポ? SONY CMT-X3CDネットワークでより進化するオーディオ
‘オーディオの楽しみ方はポータブルとネットワークによって劇的に変わった。この二つは音楽を録音できるようになって以来の劇的変化だと思う。
近代に録音技術が生まれるまで、音楽は生で聞き、楽譜を見て自分で演奏して楽しむものだった。ライブに聞くには出かけるか楽団を呼ぶか、演奏するには練習が必要だった。つまり、当時音楽を聴く人々は音楽に対する高度の知識や理解する能力を持った人たちだった。贅沢な楽しみであり、限られた人にのみ許された芸術だった。
このような背景でモーツァルトやベートーベンのような偉大な音楽家が生まれた。
近代に電気技術によって録音技術が開発されると音楽への敷居は一気に下がった。1度の贅沢なライブ演奏は録音されることによってより多くの人へ広がり、人々は作譜された音楽を聴くのではなく、演奏された音楽を聴くようになった。
このことが音楽芸術に与えた影響は大きい。何故なら、音楽を聴く人は楽譜から何も読み取る必要はなくなった。それまでは作曲するだけで評価されたのに、以降は曲を演奏してすぐに聞ける状態でなければ聞いてもらえなくなった。これにより偉大な作曲家の系譜は絶えた。
そして、ラジオ放送やポータブル機器によって音楽は常に人々に寄り添い、ネットワークにつながることによって膨大なライブラリを共有することになった。もはや音楽はコレクションの対象でない。
音楽は生活の隅々までいきわたり、日常生活のどんなシーンにでもその人の好みに合わせ音楽が流れる環境になったのだ。もはや、音楽は映画の背景音楽と同じく、その人の日常という物語を演出するものになっているのだ。
といった、芸術論はともかく、「マルチコネクトコンポ」というのは、音楽をポータブルにしたSONYのネットワーク化への回答である。
すでに家や職場はネットワーク化し、インターネットによってライブラリは共有されている。残された音楽のない空間に必要なのは、物理的な存在を意識させずにネットワーク内に存在するスピーカーだ。
身体に内蔵し直接あぶみ骨に再生できるようなデバイスが開発されるまで、このCMT-X3CDは活躍してくれるだろう。
これをスコッチグラスの横にそっとおいてモーツァルトのコンチェルトでも聴こう。
SONY マルチコネクトコンポ CMT X3CD
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