久々にプラモデル作った プラモと塗料の進化が凄かった P-51マスタング、Tyrrell Honda020、ガンダムHG ヴィタール

家には結構眠っているプラモデルのストックがある。

P-51と1/4tトラックの情景

P-51と1/4tトラックの情景

昔はガレージいっぱいの屋外物置にいっぱいになるほどコレクションしていたのに比べると大したことはないが、製作スピードを考えると十分な量だろう。
主にAFV(Armored Fighting Vehicle:装甲戦闘車両、戦車だね)を作ってきたので、作り方がAFV流。プラモデルはジャンルごと作り方の傾向があるので、自分が作った車やガンダムはちょっと他とは違う仕上がりになってしまう。
特に、AFVモデラーは、表面をつやアリのピカピカ仕上げにするのが苦手(多分)、AFVは汚し塗装でリアリティを追求するので、基本塗装で多少のミスがあってもあとからいくらでも手直しできる。油絵の手法に近いだろう(実際に油絵具も多用する)。
一方、車やガンプラは、どちらかと言えばきれいに仕上げることが求められる、クリアーコートなどは一発勝負なところもあるし、マスキングのはみだしなど、後から直せないところもある(塗りなおし以外方法がない)。

そんないろいろな作り方を試したくて、今回は自分の苦手な分野に挑戦してみた。特に、原作アニメが好きではないので、ガンプラはこれまで自分用には作ったことがない。昔、ガンプラブームの時に、友達用や展示会用に作っただけなので、どれだけ作れるのか挑戦でした。

 

ガンプラ

ガンダム 鉄血のオルフェンズ ガンダム ヴィタール
1/144
バンダイ
ガンダムヴィタールと1/4tトラック

ガンダムヴィタールと1/4tトラック

鉄血のオルフェンズとか言われてもさっぱり分かりません。なのでちょうどガンダムの新作に合わせて、再放送がNETFLIXなどで配信されていたので、資料調べをかねて見ましたが、そもそも、今回作る機体の登場シーンが見つけられない。(見つけた、シーズン2の9話「ヴィタール立つ」って、そのままの名前やった)アニメ公式サイトなどの資料を見て調べることにしたが、アニメの場合、色や形状がシーンに合わせて変わるので、どうすれば「本物」になるのかが難しかった。

進化

今のガンプラの進化には驚きました。昔の感覚では、本当におもちゃでした。メーカーのバンダイも、プラモデル専業メーカーではなく、タミヤやハセガワといった老舗のメーカーと比べて、見劣りする製品を作っているという認識でした。
すみません、間違っていました。

非常に良いプラモデルでした。

多色成型

多色成型で塗装が不要というのは聞いていましたが、半信半疑でした。しかし、成形色の選択は抜群で、明らかに、このヴィタールという機体に合わせた色でした。青とグレーと黒と白の組み合わせですが、青は当然として、白黒の成形色も微妙な色合いで、本当に塗装なしで組み上げても良いモデルになったでしょう。基本塗装なしで、汚しとつや消しコートだけで仕上げる手法があるそうですが、それでも相当に完成度の高いモデルになるでしょう。逆に、素組の仕上げに負けない塗装が出来るか。それが心配になるほどでした。

自由自在の関節

ガンプラは人型ロボットなので、アニメのように自由自在に手足を動かせることが重要。本当に自由自在でした。例えば、足首の場合、縦方向だけでなく左右方向にも動かせるボールジョイントで、しかも足の甲の部分が前後することで、動かしたときに装甲板(外板?)が干渉しない位置に調整できる。これにより、微妙なポージングが可能になり、完成品の表情が演出しやすいのだ。
ただ、このスケールで可動させているので、一部、間接の動きを支えきれない部分があり、撮影用にいろいろ動かしているうちに壊れてしまった。エポキシパテで埋め込んで修理した。

ディティール

ロボットって、外板が単調で、アニメのように動いていないと、プラモデルとしては物足りないものになりがち。ところが、今のガンプラは、関節内部の造形をチラ見せすることや、単調になりがちな面の造形に微妙な曲面を加えることで高い表現力を持っている。すっきりした面と複雑な造形をコントラストにして、よりリアリティを高めていた。ほとんどのアニメのシーンよりもガンプラの方がリアルな造形になっている。

デカールがない

プラモデルと言えばスライドデカールだったはず、が、ガンプラは標準モデルにはスライドデカールが付属せず、あの、カプセルトイに使うようなシールがついているのだ。ここは初心者でも組みやすくという方針だと思うが、これだけはもったいないと思った。スライドデカールはうまく貼れば塗装と同じなので、リアリティの点で圧倒的だ。付属のデカールは塗装の代わりに貼るものなのでデカールは割り切ってしまっているようだ。

War Hummerというミニチュアボードゲームの模型

War Hummerというミニチュアボードゲームの模型

今回作ったガンプラは1/144スケールのHGというモデルで、ガンプラの中で一番小さくて安いラインの製品でした。もともとジョーシンのコンテストの賞品としてもらったものでした。定価でも2000円程度です。これでこの出来なら、世界中の人がガンプラに夢中になるのもよく分かります。
海外でも、ウォーハンマーなどのSF設定のミニチュアモデルがありますが、どれも大人が作るもので値段も高い。世界の模型業界でガンプラの立ち位置は他にない独特のものだと言える。プラモデル大国の日本の中でも価値ある製品だと実感しました。(War Hummerの世界は他のボードゲームと同じく世界が深いので、ここでは説明しません。カードゲームのマジック・ザ・ギャザリングのカードの代わりに自分で製作したミニチュアを使うようなイメージです。って、この説明で分かる時点で沼にはまっています。)

 

タミヤ
1/48 傑作機シリーズ
P-51D マスタングと1/4t小型四輪軍用車

P-51Dは美しい飛行機です。空に映えます。

P-51Dは美しい飛行機です。空に映えます。

1/4t小型四輪軍用車って、一般名「ジープ」ってやつです。ジープはクライスラーの商品名なので、本当は間違っているのです。実際は同一の規格で様々なメーカーが多量に生産した。元々アメリカンバンタム社が設計し、ウィリスが試作して、フォード車などが生産した車輛です。大戦中に60万台以上生産されたと言われています。
まあ、そのジープはメインではなく、第二次世界大戦中の最優秀戦闘機ノースアメリカン P-51D マスタングです。これを銀塗装で作ってみました。

銀塗装

最近、模型用の塗料が凄く良くなってきています。これは一般用のペンキや塗料が画期的な進化を遂げているので、それに引っ張られての結果です。昔に比べ使いやすく、発色も素晴らしい。特に水性塗料とメタリック系の塗料の進化は凄いらしく、それを試したくてP-51を選んだ。
この当時の米空軍(まだ陸軍の一部でした)はヨーロッパでも太平洋戦域でも完全に空を支配しており(制空権を掌握している)、敵の空襲を心配することはほとんどなかった。なので、航空機などを迷彩塗装で敵の目から隠す必要がないので、少しでも重量を軽くするために塗装せず、全面ジュラルミン地肌のままの銀色の戦闘機が多数あった(海軍機は海水から守るために塗装が必要)。日本で有名なところでは爆撃機のB-29が塗装なしの銀色である。
P-51もそんな銀塗装の機体であり、金属地肌の胴体部分と銀塗装した主翼部分との違いなど、銀塗装ならではの表現ができる機体である。で、作ってみたが、肉眼では塗装方法の違いなどでの表面の違いなどが分かるが、写真ではまったく分かりません。光沢面の表情の違いを見せるだけの「ライティング」機材がありません。光沢面の場合、1光源での輝きを写真に撮るのがベストですが、レフ版などがないので、まったく表現できませんでした。

 

車部門(部門とかありました?)
タミヤ
1/20 グランプリシリーズ
Tyrrell Honda 020

Tyrrell Honda 020 細かいところは見ないで

Tyrrell Honda 020 細かいところは見ないで

F1カーです。日本で最もF1レースが盛り上がっていた時代の車です。アイルトン・セナやアラン・プロストが走っていた時代ですね。日本の自動車メーカーが最も力のあった時代で、ホンダは自動車・バイクのどのレースでも最強のエンジンを作っていました。どのレースコンストラクターも、レースに勝つにはホンダのエンジンを手に入れなければならない時代でした。今で言うと、AIのサーバーを構築するのにNVIDIAのGPU用コアが必須とか、半導体を作るために、オランダASMLのプリント装置が必須みたいなものです。NVIDIAなんて、5年前にはPCゲームおたくしか知らなかったよね。PCにグラフィックボードを搭載すると、それ用にNVIDIA、GeForce(GとFが大文字)のデバイスドライバーソフトがインストールされるのだが(しなくても良いが)、「これって何?」とお客さんに尋ねられたものだ。今なら、「世界で一番大きな半導体の企業です」と説明できる。
話が脱線しました。Tyrrellというコンストラクター(レースをする会社のようなもの。メーカー=コンストラクターなのはフェラーリぐらいで、他はみんな、エンジンメーカー&レースコンストラクターでチームを組んで行う)は、1980年代まで、世界トップのレースチームで何度も優勝したこともあるチーム。特にP34というマシンは6輪車、前輪のタイヤが4個あるという、SF的、中二病的なデザインで有名である。

ティレルP34 6輪のF1レースカー

ティレルP34 6輪のF1レースカー 格好いい!!

そんなTyrrellが1990年代にバブルな日本のホンダと組んで走らせたのがTyrrell020で日本人ドライバーの中島悟選手が運転しました。成績は振るいませんでした。
デカールが死んでた
このキットも、実はジョーシンキッズランドのプラモデルコンテストでの入賞商品で、10年前に頂いたもので、もらった当時ですら古いキットです。最初に発売されたのが1990年代なので、デカールの品質も当時のもの。私の腕ではきちんと貼ることが出来ませんでした。ほんと、塗分けに細い二重線がなければマスキングして塗装で再現したかったところです。

でも、主たる目的は、つやアリコート塗装をしっかり完成させること。デカールは二の次です。塗装は、ほぼすべてラッカー系の塗料で、エアブラシを使いました。塗料の乾燥が早く、伸びが良く、塗りやすい。塗料の進化が実感できました。

ロッシとYAMAHA YZR-M1 塗装は一度完全に塗りなおした

ロッシとYAMAHA YZR-M1 塗装は一度完全に塗りなおした

10年ほど前にレースバイクのヤマハYXR-M1を塗装した時には、クリアーコートの溶剤によってデカールや基本塗装が溶けて塗りなおししたことがありましたが、今回は、10回クリアーコート塗装&研ぎ出しを行いましたが、下の塗装は無事でした。

Tyrell020は30年前に初めて発売されたプラモデルだが、デザインのセンスは今でも通用する。実際に、写真で見ると、10倍の値段の完成品ミニカーに負けない表現力を持っていると感じます。

プラモデルの魅力に改めて気付いた製作でした。3台とも、未経験な分野への挑戦でしたが、プラモデルキットや塗料が、説明書通りの性能を発揮してくれるので、初めての作業でも、きちんとこなすことができました。

プラモデル人口は激減しているらしいですが、やってみると奥深く、ワインのテイスティングと似ていて、どんな人にも合う一品がある世界だと思います。何かきっかけがあれば是非挑戦してください。

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